■モンク♀、酒場で吟遊詩人に語る うちのギルドのリーダーの姫様の事なんですけどね。 聞いてくださいよ。 この間、3Fを進んでいた時に通路の向こうに宝箱が見えたんですよ。 それを見た姫様がもうはしゃいじゃってですね。 シカが近くにいたのに、どうしても取るんだー!って。 仕方ないのでみんなで取りにいったのに、せっかく宝箱を開けて帰ろうとしたその時、姫様がぬかるみに足を取られて……。 気が付いたら宿屋のベットの上ですよ。 こんなの今回だけに限った話じゃないですよ。 ウォーリアーさんは笑って甘やかすし、ゾディアックちゃんは無言で奈に考えてるかわかんないし、ファーマーちゃんは畑仕事に忙しいし! ねえ! 聞いてます!? いっつもひっぱり回されて苦労するのはアタシなんですよ! 買物行って荷物持ちするのも酔っ払ってここで暴れてるのを回収して帰るのも船から落ちたのを引き上げるのも引き上げた後人口呼吸するのも! そう言えば前に「なんでお姫様なのに冒険者になられたんですか?」って聞いた事あるんですけど、にこやかに微笑んだあとスルーされました。 いまだに理由教えてくれないんですよね。 きっとあんな性格だからお城から追い出されたんですよ! そうだ! そうに決まってる! 婚約者に嫌われたとかあるかも! もう君には耐えられないとか言われたんだ! あれ? どうしたんですか? なんで目を逸らすんですか? なんで席立つんですか? ちょっとー話聞いてくださいよ! え? 後ろ? 後ろに何g あ……姫……様。や、やだなー怖い顔して。どうしたんですか? え? 部屋に戻ってゆっくり話そう? ええええ遠慮しておきます。 あいたっ! ごめんなさい行きます! お下げ引っ張らないでくださいごめんなさ…… プリンセスに引き摺られ遠くなっていく彼女を見つめながら、吟遊詩人はポロンとリュートを奏でた。